はじめに
親が亡くなったあと、障害のある子どもの生活費はどうなるのでしょうか。
障害者扶養共済は、保護者が亡くなったあとに、障害のある方へ月2万円(1口の場合)を生涯支給する公的な制度です。
加入には保護者の年齢や健康状態の条件があり、あとから加入できなくなる場合もあります。
この記事では、制度のしくみや掛金、加入する時期によって変わる条件を解説します。
障害者扶養共済とは
障害者扶養共済は、保護者が毎月掛金を納め、
- 保護者が亡くなったとき
- 制度で定める重度障害になったとき
に、障害のある方へ年金が支給される制度です。
保護者が元気な間は支給されません。
都道府県・指定都市が条例に基づいて実施する任意加入の公的な制度で、民間の保険商品ではありません。
国は「障害者扶養共済制度(しょうがい共済)」と呼んでいますが、自治体では「心身障害者扶養共済」として案内されていることもあります。
誰が対象になる?
障害のある方の条件
対象になるのは、次のいずれかに該当し、将来独立して生活することが困難と認められる方です。
障害のある方本人に年齢制限はありません。
- 知的障害のある方
- 身体障害者手帳1〜3級に該当する障害のある方
- 精神または身体に永続的な障害があり、上記と同程度と認められる方
3つ目には、自閉症、脳性麻痺、統合失調症などが含まれる場合があります。
精神障害者保健福祉手帳は等級だけで対象になるかどうかが決まるわけではありません。
対象になるかは、自治体の窓口で確認しましょう。
保護者の条件
加入する保護者には、次の条件があります。
- 加入する都道府県・指定都市に住所がある
- 加入する年度の4月1日時点で65歳未満
- 特別の疾病や障害がなく、生命保険の対象となる健康状態である
- 障害のある方1人につき、加入できる保護者は1人
父母の両方が、それぞれ加入することはできません。
いくら払って、いくら受け取れる?
受け取れる年金
加入する単位を「口」と呼びます。
障害のある方1人につき2口まで加入でき、年金は障害のある方が亡くなるまで生涯支給されます。
支給額は、以下の金額になります。
- 1口:月2万円
- 2口:月4万円
障害基礎年金とは別の制度なので、障害基礎年金を受け取りながら、扶養共済の年金も受け取ることができます。

毎月の掛金
掛金は、加入する年度の4月1日時点の保護者の年齢で決まります。
以下は1口あたりの月額です。
| 加入時の年齢 | 月額掛金 |
|---|---|
| 35歳未満 | 9,300円 |
| 35歳以上40歳未満 | 11,400円 |
| 40歳以上45歳未満 | 14,300円 |
| 45歳以上50歳未満 | 17,300円 |
| 50歳以上55歳未満 | 18,800円 |
| 55歳以上60歳未満 | 20,700円 |
| 60歳以上65歳未満 | 23,300円 |
※2026年4月1日現在の掛金。
掛金は加入時に決まり、その後年齢が上がっても変わりません。
例えば35歳未満で加入した場合、40歳や50歳になっても1口あたり月9,300円のままです。
ただし、制度の見直しによって掛金が改定される可能性はあります。
掛金はいつまで払う?
掛金は、次の2つの条件を両方満たしたあと、納める必要がなくなります。
- 加入日から20年以上経過している
- 加入者が4月1日時点で65歳である年度を経過している
つまり、20年間払えば必ず終了するわけではありません。
実際の負担額は、加入時期や払込期間、加入者が亡くなる時期によって変わるため、早く加入すれば、必ず掛金の総額が少なくなるわけではありません。
払込期間中に保護者が亡くなった場合
その時点で掛金の納付は終了し、年金の支給が始まります。
残りの期間の掛金を払い続ける必要はなく、払い込みの途中でも、加入していた口数に応じた年金が支給されます。
なお、掛金は年金支給開始月の分まで必要とされています。
加入する時期によって変わる3つの条件
① 加入時の年齢で掛金が変わる
掛金は5歳ごとの年齢区分で決まります。
例えば、40歳以上45歳未満では月14,300円、45歳以上50歳未満では月17,300円です。
加入する年齢区分が1つ変わるだけで、月3,000円の差になります。
② 保護者の健康状態によっては加入できない
加入には、保護者の健康状態についての条件があり、保護者自身が病気になってからでは、加入できなくなる可能性があります。
③ 年齢は4月1日時点で判定される
掛金の年齢区分は、申込日の年齢ではなく、加入承認日の属する年度の4月1日時点の年齢で決まります。
例えば、5月に40歳になる方は、その年度の4月1日時点では39歳です。
その年度内に加入が承認されれば、40歳以上の14,300円ではなく、35歳以上40歳未満の11,400円が適用されます。
基準は申込日ではなく承認日なので、年齢区分の境目が近い場合は、承認までの期間も確認しておきましょう。
年金は誰が受け取り、管理する?
扶養共済の年金は、障害のある方本人に支給されます。
ただし、本人が年金を受け取ったり管理したりすることが難しい場合は、加入者があらかじめ「年金管理者」を指定する必要があります。
年金管理者は親族でもよい
年金管理者には、きょうだいなどの家族・親族を指定できます。
あとから変更することもできます。
年金管理者は、扶養共済の年金を管理するための役割で、成年後見人とは異なり、本人の財産管理や契約全般について代理する立場ではありません。

やめたいとき、子どもが先に亡くなったとき
途中で脱退した場合
5年以上加入したあとに任意で脱退すると、脱退一時金が支給されます。
1口あたりの金額は下記の通りです。
| 加入期間 | 脱退一時金 |
|---|---|
| 5年以上10年未満 | 75,000円 |
| 10年以上20年未満 | 125,000円 |
| 20年以上 | 250,000円 |
子どもが先に亡くなった場合
加入者より先に障害のある方が亡くなった場合、加入期間が1年以上あれば弔慰金が支給されます。
| 加入期間 | 弔慰金 |
|---|---|
| 1年以上5年未満 | 50,000円 |
| 5年以上20年未満 | 125,000円 |
| 20年以上 | 250,000円 |
脱退一時金や弔慰金は、それまで納めた掛金が全額戻るものではありません。
また、掛金を納められなくなった場合は、滞納を続けると加入資格を失う可能性があります。
支払いが難しくなったときは、自治体の窓口に相談してください。
税金と掛金の減免
掛金は所得控除の対象
納めた掛金は、全額が小規模企業共済等掛金控除の対象になり、所得税や住民税の負担を軽減できる場合があります。
控除を受ける際の手続きは、勤務先や税務署などで確認してください。
また、扶養共済から支給される年金や弔慰金には所得税がかかりません。
掛金が減免される場合もある
所得などに応じて、掛金を減額・免除する制度を設けている自治体があります。
対象条件や減免額は自治体によって異なるため、加入を検討する際に確認しておきましょう。
引っ越したとき
他の都道府県・指定都市へ引っ越す場合も、転出先で手続きをすれば、加入を継続できます。
手続きには、転出元の自治体名や加入者番号などが必要です。
自治体によっては掛金の減免条件が変わることもあるため、引っ越しの際に確認してください。
加入を検討するときの手順
市区町村の障害福祉窓口で、
「うちの子は障害者扶養共済の対象になりますか?」
と確認します。
自治体によっては「心身障害者扶養共済」という名前で案内されています。
加入する保護者の年齢を伝え、
「現在の年齢での掛金と、減免制度の対象になるかを教えてください」
と聞いてみましょう。
父母のどちらが加入するか迷っている場合は、それぞれの条件を確認します。
年齢区分の境目が近い場合は、承認までの期間も聞いておきましょう。
加入する場合は、自治体の案内に従って書類を用意します。
主に必要となるのは、
- 加入申込書
- 保護者の健康状態を伝える告知書
- 障害の種類や程度を確認できる書類
- 住民票など
- 年金管理者指定届書(必要な場合)
です。
必要な書類や様式は自治体の窓口で確認してください。
まずは相談してみましょう
障害者扶養共済は、保護者に万一のことがあったあと、障害のある方へ生涯にわたって年金を支給する制度です。
まずは、お子さんが対象になるか、現在の年齢での掛金はいくらかを確認しておきましょう。
制度の内容を知ったうえで、ご家庭の状況に合わせて検討することが大切です。

参考資料
※掛金や給付額は制度改定によって変更される場合があります。
減免制度などの詳細は、お住まいの自治体で確認してください。
📋 この記事の情報について
この記事は厚生労働省・こども家庭庁・各自治体などの一次情報をもとに作成しています。
制度の内容は変更される場合があります。最新情報・詳細はお住まいの自治体窓口等でご確認ください。
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