はじめに
「支援級と支援学校、うちの子にはどっちが合っているんだろう」
「どうやって決めるの?」
就学を前に、悩まれている方は多いと思います。
実は、就学先は親が一人で決めるものではありません。
本人と保護者の意見をできる限り尊重し、話し合いで合意をつくることを原則に、教育委員会が決める仕組みです。
学びの場は4つあります
国は、通常の学級・通級による指導・特別支援学級・特別支援学校という「連続性のある多様な学びの場」を用意しています。
それぞれに対象となる障害の種類がありますが、まずは「どんな子が利用しているか」をイメージするとわかりやすいです。
通常の学級
みんなと同じ教室で学びます。
必要に応じて座席や教材の工夫などの配慮を受けながら過ごします。
通級による指導
普段は通常の学級で学びながら、週に数時間だけ別の教室で苦手に合わせた指導を受けます。
「読み書きが苦手」「コミュニケーションを練習したい」といったお子さんが利用しています。
対象は、
- 言語障害
- 自閉症
- 情緒障害
- LD・ADHD
- 弱視・難聴
などです。
特別支援学級(支援級)
地域の小・中学校の中にある少人数の学級です。
1学級8人が基準です。
「学習のペースを調整したい」「少人数で落ち着いて学びたい」というお子さんが利用しています。
障害の種類ごとに学級が分かれていて、
- 知的障害
- 自閉症・情緒障害
- 肢体不自由
- 病弱・身体虚弱
- 弱視
- 難聴
- 言語障害
などがあります。
特別支援学校(支援学校)
障害のある子の教育を専門とする学校です。
小・中学部は1学級6人が基準で、設備や先生の専門性が手厚い環境です。
日常生活や学習で、より手厚い支援が必要なお子さんが通っています。
学校は対象ごとに分かれていて、
- 知的障害
- 肢体不自由
- 視覚障害
- 聴覚障害
- 病弱
のお子さんを対象とした学校があります。
それぞれ支援の内容や学び方が異なりますが、優劣ではありません。国は、障害のある子とない子ができるだけ共に学ぶ「インクルーシブ教育」を進めています。
どの場を選んでも、一緒に学ぶ機会とその子に合った支援の両方を大切にする考え方になっています。
病弱…入院中の子や慢性的な病気で治療を続けながら学ぶ子のための学校・学級です。病院の中に教室があることもあります。
よくある誤解・困るポイント
「一度決めたら変えられない?」
誤解されやすいところですが、変われます。
就学後も、お子さんの発達や適応の状況に応じて学びの場を見直すことができます。
支援学校から小中学校へ、その逆へ変更することも可能です。
「手帳がないと支援級に入れない?」
判断のもとになるのは、手帳の有無そのものではなく、お子さんの状態や教育的ニーズです。
運用は地域によって異なるため、就学相談で確認しましょう。
支援級や支援学校=ずっと分かれて過ごす、ではありません
支援級に在籍していても、給食・行事・得意な教科などは通常の学級で一緒に過ごす「交流」の時間があります。
支援学校でも、地域の小中学校との交流や共同学習が行われています。
完全に分かれて過ごすわけではありません。
「通常の学級にいられれば安心」とも限りません
周りに合わせることに力を使い果たしてしまい、勉強や学校そのものがつらくなってしまう子もいます。
大事なのは、どこに在籍するかよりも、お子さんが力を発揮できる場所かどうかです。
高校には「支援級」がありません
支援級は小・中学校の制度です。中学卒業後は、高校・特別支援学校高等部などから、あらためて進路を選ぶことになります。
なお、「支援級や支援学校に行くと高校を受験できなくなる」というのは誤解です。本人の希望や学力に応じて、高校受験という選択肢もあります。
通学・送迎の負担は、想像以上に違います
見落とされがちですが、生活を左右する大事なポイントです。
- 支援級は学区の学校なので近い一方、登下校の付き添いを求められる場合があります。
- 支援学校は校区が広く、自宅から遠いことが多いです。
- 支援学校ではスクールバスがある学校も多いですが、乗車時間が長い・バス停までの送迎が必要・医療的ケアがあると利用できない場合があります。
教育内容だけでなく、通学や放課後の過ごし方も大切なポイントです。
障害のあるお子さんの場合、放課後等デイサービスを利用する家庭も多くあります。
「この通学を6年間続けられるか」「放課後を含めて無理なく生活できるか」も考えながら、見学のときに通学方法を確認しておきましょう。
ただし、放課後等デイサービスは学校が手配してくれるものではありません。契約や手続きは保護者が進める必要があります。

就学までの流れ
市区町村の教育委員会へ申し込みます。
「自治体名+就学相談」で検索すると案内が見つかることが多いです。
園や療育センターを通じて案内が配られる地域もあります。
お子さんの様子や困りごとを伝えます。
支援学校では学校公開や見学会、体験入学が行われています。
お子さんの教育的ニーズを整理し、保護者の希望も伝えながら進めます。
秋に就学時健康診断があり、その後就学先が通知されます。
就学相談の申し込み時期は自治体によってかなり違うため、早めに確認しましょう。
注意点
- 支援級の設置状況や通級の有無、運用は自治体や学校によって異なります。
- 見学はできるだけ支援学校と支援級の両方行きましょう。実際に見ると印象が変わることが多いです。
- 医療的ケアが必要な場合は、できるだけ早く相談を始めましょう。
- 希望する就学先と教育委員会の考えが異なることもあります。その場合も、理由を確認しながら相談を続けることができます。
まずは就学相談へ
実際に見学し、話を聞き、お子さんに合う環境を一緒に考えていくことが大切です。
- 優劣ではなく、今のお子さんに合う場所を選ぶ
- あとから変わることもできる
- 教育内容だけでなく、通学や送迎の現実も大切な判断材料
お子さんの就学に迷ったら、市区町村の教育委員会の就学相談窓口へ相談してみましょう。
「就学相談ってどう進めればいいの?」と園や療育センターに聞くところからでも大丈夫です。
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